聖火リレーだけであの騒ぎである。
本番は一体どうなるのだろうか。
そうした中、男子マラソン代表の尾形選手が、三種の神器をぶちあげた。
「先頭」「雨靴」「鼻毛」だそうだ。
特に「鼻毛」については、「極力切らないようにする。テレビ映りが悪くても仕様がない。」と悲壮の決意である。
先日、実際のコースの試走が行われたが、あれ以来、いまだに気管の具合が悪いというのだ。
極力悪い空気を吸い込まないようにしたい。
その切り札として、<秘技・鼻毛伸ばし>を選択したというのだ。
何と言ったらいいか・・。
とにかく、色々な意味で、恐ろしい五輪である。
開催中の水泳のオリンピック選考会。
参加標準記録をクリアーしなければ優勝してもブー。
非常に分かりやすい。
お家芸といわれる柔道。
負けても、これまでの実績+αにより選ばれた選手もいる。
非常にわかりにくい。
「ママでも金」の前に、「負けても金」と言って欲しいね。
それならある意味、分かりやすいから。
未知の世界に入った途端、目の前が真っ暗になった。
30kmまでしか走ったことのなかった福士が、それを越えた途端大失速。
見ていて僕は恐ろしくなった。
寸分違わないではないか。
ここから(30km)は許さないぞ。
それにしても、あれだけの一流ランナーが、あそこまで恥をさらしてよく走ったと思う。
ただ、あれがこの先プラスになるかマイナスになるか、それは紙一重ではないか。
それにしても、解説の増田明美さんの予想は凄い。
サンケイスポーツ紙上での予想はこうだ。
「・・森本友さんも、過去2大会の五輪選考会で選手をきっちり仕上げてきた天満屋の伝統があります。外国招待選手では、マーラ・ヤマウチさん。体調のよさから、ここでマラソン初優勝してもおかしくありません。」
日曜朝刊の紙面で彼女はそう言っている。
特に痺れるのは、<天満屋の伝統>という指摘だ。
「あそこは長距離戦に伝統がある」。
まるで春の天皇賞を予想するトラックマンのようではないか。
この人、ギャンブラーだなあ。
同郷の後輩として、僕は改めて増田さんを誇りに思った。
荒川静香のフィギュアスケート金メダルは歴史的快挙ではあるのだが、忘れてはいけないのが浅田真央の件だ。一説によれば、日本スケート連盟が、浅田の五輪出場にあまり熱心でなかったのは、今回選に漏れた3人(浅田、中野、恩田)は山田コーチの門下で、選ばれた3人(荒川、村主、安藤)は城田強化部長の門下なので、城田門下の3人を落としたくなかったからだという。
今回の選考ポイントのシステムは昨年の成績が大きく加味されるものだったので、今年ぱっとしなかった安藤が選考ポイントトップで選ばれた反面、今年になって成長してきた中野のような選手は不利になってしまった。ところが、グランプリシリーズで2位、1位、1位の浅田は選考ポイントでは、安藤に大差のトップだった。で、もし、浅田が選ばれていたとしたら、ポイント通りの選出順位だ仮定した場合、落ちていたのは荒川だったのだ。
なんとも微妙である。浅田が出ていたとして優勝していたかどうかわからないが、少なくとも、荒川の金メダルはなかったことになる。選考ポイントトップの安藤が、メダル争いに絡んでいた荒川、村主から置いていかれていた感が否めないところからしても、今回の選考システムに問題がありそうだ。
日本選手の得点発表の際に必ず横に寄り添っていた城田というオバさんは、荒川が金メダルを獲得してさぞ満足だろうが、4年後に今の滑りができるかどうかわからない浅田も、「浅田が出ていたら」といわれてしまう安藤も、このオバさんのエゴの犠牲者である。
4年後にはこんなバカバカしい騒動を見なくてすむようにお願いしたい。
# アルペン男子回転の皆川賢太郎の4位はもっと騒がれてもいい記録だと思う。トップとは1秒差だが、2位とは0.2秒、3位とは0.03秒差だった。1本目にはトップから0.07秒差の3位につけていたので、残念といえば残念だが、100人近くが出場した中での4位は立派である。7位入賞の湯浅直樹も2本目だけなら3位の記録だった。エース佐々木明が棄権になってしまったのは残念だが、日本のアルペンも随分層が厚くなってきたものだと思う。メダルの数だけに一喜一憂しないで、中身を見てみるとそんなに悲観するばかりでもないかもしれない。
カーリングが結構おもしろい。
およそ冬のオリンピック種目はオリンピックのときでもなければ余程マニアの人でなければ注目している人は少ないと思うが、カーリングはその中でも最たるものだろう。
大体1試合2時間半もかかるのだから、テレビ向きではない。そんなわけでこれまで通して試合を見たことなどなかったのだが、たまたま日本-カナダ戦を見ていたらこれがなかなかおもしろくて、スウェーデン戦、イギリス戦と見てしまった。「氷上のチェス」とも呼ばれるそうだが、確かに戦術が豊富で、これに氷の状況(温度や表面の状態で曲がり方が変わるのだ)の読み、思った位置にストーンを投げる技術が絡まり、奥が深い競技だと思える。
日本チームはソルトレーク金のイギリス、今回メダル候補のカナダを破り、現世界チャンピオンのスウェーデンとも延長にもつれ込む接戦を演じるなど、ここ3戦は調子が上がってきているが、下位チームに結構負けていて、予選突破には残り2戦全勝で相手待ちという厳しい状況だ。なんとか突破してもらって、もう少し続きを見てみたい気はするがどうだろうか。オリンピックが終わったら、もう暫くは見ることもないのだろうから。
#スノーボードのクロスなんかも普段ほとんど縁がないけど、見てみると面白い競技が結構ありますね。
原田失格。
五輪4度目、大ベテランとしては、余りに初歩的なミス。
ともに出場している他の選手達は、いつも+500gは余裕を見ているというし、念には念を入れ、大便も我慢する場合もあるという。
原田は日本を発つ際、こう言っていた。
「オリンピックですから、失敗は許されません。」
付け焼刃は、大舞台では通用しないということだろう。
残り3人の時点でKari Traaと大差の2位では3位に残るのは厳しいなと思いながらも僅かに期待して観ていたが、やはり1人滑降するごとに順位が下がってしまい結局5位に終わった上村愛子であった。
上位4人の選手、特にTraaを除く3人は26秒台であり、スピードが全然違った印象だった。ナイターで下が固かったことを意識して丁寧に行き過ぎたのかもしれない。
長野の頃は明らかに人気先行だったが、その後はFISランキングでは2001年の2位を最高にほぼ毎年1桁の順位をキープしてきたのだから、巡り合わせ次第ではメダルに手が届いてもおかしくはなかったのだが、3度のオリンピックで7、6、5位。立派な成績ではあるのだけど、自由奔放に遊び回ってる(ような印象の)里谷多英が金、銅を獲得していることを考えれば、なんかかわいそうになっちゃうんだよなあ。長野はともかくその後はFISランクはずーっと上村の方が上だったのだから。一発勝負のオリンピックよりもシリーズ通しての成績であるランキングの方が実力をよく表しているという見方もできなくはないけど、なんか悲運のヒロインという感を拭えないのだ。
でも、予選で「コーク720」が決まったときの観衆のどよめきは全選手中イチバンでした。
お疲れ様。
#最近はスポーツ選手のBLOGも増えてきたようです。
上村愛子のRoad to Torino
タイトルからすると期間限定かな?
「お客さんちょっと待ってて、今場所確認してくっから」
そう言って運転手は車を降り、対向車線の路肩に停車していた同僚のタクシーへ駆け寄っていった。
観光案内のパンフレットにはきちんと名称が載っていたはずなのだが・・。
再びタクシーは走り出した。
福島県須賀川市。
雨だけを心配していたのだが、どうやら何とかもちそうである。
数年前から一度は訪れてみたいと思っていたある記念館に僕は向かっていた。
タクシーが停まった。
「ここですか?」
その問いかけに、「この先だと思うんだけど」とあいまいな返事。
そうか、地元のタクシー運転手にとってもそこはもうそうした場所であるのか。
なんだかやり切れなくなってきたが、道端の看板には、確かに記念館がこの先にあることを示していた。
まあいい、その辺で聞いてみようとしばらく歩いていくと、家の庭で作業をしていた人が目に入ったので声をかけてみた。
「すいません、円谷幸吉記念館はこの近くですか?」
すると、その男性が顔を上げ、「うちですが」と言った。
普通の家である。
玄関を上がり、すぐ左手の廊下に面した部屋がその<記念館>であった。
一面の壁にはたくさんの表彰状が飾られている。
「お客さんはどこから?」
「東京からです。」
「それはまあ遠くから。ゆっくり見ていってくださいな。」
正面には大きな円谷の写真が額に納まって飾られている。
左右の棚にも、おびただしい記念品の数々がきれいに並べられていた。
「これが東京オリンピックのメダルです」
先ほどの老人が棚の鍵を開けて見せてくれた。
「これが遺書です」
ここを訪れてみようと思った直接の動機の品が、やはり額に入れられて僕の目の前に置かれた。
朴訥な字である。
最後の「幸吉は父母上様のそばで暮らしとうございました。」の文字に、息が詰まる。
谷口、有森、藤田らのマラソンランナーがここを訪れたときの写真も飾られていた。
「これがね、オリンピックの記録ですよ。」
そう言って老人が引き出しから出してきたものは、円谷が走ったオリンピックからシドニーまでの男女のマラソンのタイムやメダリストを記録したノートだった。
「明日はどうですかね?」
「どうかね。坂がきついんでしょ。頑張って欲しいけどね。」
老人は答えた。
「次は北京でしょ。北京なら時差は大したことないんでしょ。今は夜遅いもんねえ。」
老人は夜遅くまで起きているのが大変だというように語った。
館を出る際にも、「今日はご苦労様でした」と送ってくれた。
帰りは駅まで歩いて戻った。
きれいに舗装された道路を、それほど多くはない車が走りすぎてゆく。
円谷がアベベについての印象を書いたメモを僕は思い出していた。
「超人的で言うことはない」とあった。
その超人打倒を目指して、円谷は練習することがあったのだろうか。
上空の風に雲が流れ去ってゆく。
それを目で追いながら、きっと明日は眠気を我慢してあの円谷のお兄さんはテレビを見つめるのだろうと思った。
円谷は、今も走っているのだ。
40秒近くあった差がじわじわ詰まってきて10秒台になる。見ている方でさえ異常な長さに感じた最後の5km、野口みずきは何度も何度も後ろを振り返った。10数秒の差だと観衆の声援によって後ろの選手との距離がわかるのだという。だんだんと近づいてくるその距離を感じながら走るラスト5kmは野口にとっても永遠にも感じる長さだったに違いない。だが、その差は10秒より詰まることはなく、野口は最初にゴールに飛び込んだ。
ラドクリフが36kmで脱落したようにオリンピックや世界選手権のマラソンと各国で行われるマラソンとは別物である。前者が自らの判断でペースを決めて走るものであるのに対し、後者はその選手に合った一定のペースをペースメーカーが作ってくれるものだからである。高橋やヌデレバの凄いところは、距離以外は性格の異なる2つの「マラソン」のいずれにおいても一流であるところだ。そして2時間21分台の記録を持ち、世界選手権で敗れたヌデレバに雪辱した野口にもまた高橋やヌデレバのようになれる可能性が充分にある。
過去のオリンピックでの成績を見ても3人全員が入賞した例はなく、野口の優勝がなくても、いいメンバーが選ばれたのだと思う。東京で高橋を破ったアレムの後半の失速をみれば、高橋が出ていても優勝争いに絡んだかどうかは微妙なところだ。それでも、優勝しなければ「高橋が出ていれば」という声は必ず出たはずだ。そういう意味では、野口はヌデレバのみならず「高橋の亡霊」にもまた勝ったのだと思う。
何億光年のきらめきは、彼に何をもたらしたのだろうか。
「優勝するためには一か八かいかなければならない。」
渾身の5投目の投てきがネットにかかる。
残る最後の一投を前にして、頭の中を真っ白にするために、室伏は寝転がって夜空に輝く星を見ていたのだという。
28cmという差がいかほどのものなのか、僕のような凡人には分からない。
しかし、眠気さえ吹き飛ばしてくれた6投目を投じた室伏の表情、声、身振りを、僕は決して忘れないだろう。
ミケランジェロが生きていたなら、あの瞬間の室伏は、彼の格好のモチーフとなったのではないか。
オリンピック発祥の地アテネ。
聖地に立つ雄々しい戦士。
スポーツの美神は、確かに室伏に舞い降りたのだ。
オリンピックたけなわである。
北島の金に始まり、体操日本、陽はまた昇るの金。
井上康生の敗退はまさかであったが、人間いいことばかりではないということだろう。
スポーツは容赦がない。
その分鈴木の芸術品の足技一本は素晴らしかった。
個人的には、親父との10年の誓い、何とも朴訥な風貌の泉浩の銀メダルが嬉しかった。
決勝での負けっぷりといい、荒削りな感じはまだまだ先が望める器である。
長嶋ジャパンも台湾にサヨナラ勝ち。
一つの勝利にあそこま一喜一憂する選手の姿をこれまでに見たことがあっただろうか。
そしていよいよ明日は女子マラソンの号砲が鳴る。
史上最も過酷なコースと言われる中での戦い。
おそらく一人一人脱落していくサバイバル戦となるだろう。
メダルラッシュの勢いに乗じて陽をもう一度昇らせてもらいたい。
(付記)
初ホームランのおまけまで付いた工藤の200勝。
放送もされずに何ともツキが無かった。
あの名古屋電気の工藤がなあ。
立派の一語。