いや、本当は2度目の防衛だけど、亀田戦は実力差がありすぎたし、無理矢理感が否めないから今回が真の防衛戦と言ってもいいだろう。
試合前は、正直内藤が防衛するとは思わなかった。
ポンサクレックはカオサイ・ギャラクシーとはいかないまでもウィラポンにはに匹敵する名チャンピオンだった。内藤が王座を奪取した試合は見ていないのと、その際のポンサクレックの調整失敗が言われていることからして、二度は同じこと(番狂わせ)はあるまいよ、と思っていたというのが正直なところだ。徳山昌守に返り討ちにあった川嶋勝重やレネ・アルレドンドに返り討ちにあった浜田剛史が思い出されたりもした。
そんな予想を尻目に内藤はよく戦った。
三者三様のドローの結果には、ネット上では韓国のジャッジに対する不満の声も見られるが、マストシステムの下では仕方がないかもしれない。個人的にはなんとか内藤が逃げ切ったかなとの印象だが、終盤3ラウンドはどっちがとっていてもおかしくない程度の接線だったので、まあ妥当の範囲だろう。とはいえ、ポンサクレックの赤く腫れた顔に対して、内藤は最後まできれいな顔だったのだからほぼ思惑通りの試合運びができたのではないか。
初防衛戦は、相手が相手だし実力を図りかねていた上に33歳ということで、過小評価していたかな。終盤まであれだけ動けるうちは、まだまだいい試合ができるだろう。
そういえば長谷川穂積のときもウィラポンに返り討ちにされるんじゃないかなあと思ってたんだった。日本人の王者が長期政権を誇った元王者の挑戦を受ける時にはどうもそういう気になってしまう。予想が裏切られても悪い気はしないんで、まあいいか。
ひとり酒を飲みながら深夜のボクシング中継を見ていた。WBAスーパーフライ級のタイトル戦、王者名城と挑戦者ガルシアの試合だ。
半日以上も前に行われた試合の録画中継で結果は見る前から報じられており判っていたが、やはり、記事を見るのと実際に(といってもテレビだが)見るのは違う。
大差の判定勝ちだったが、解説の六車氏が「最終ラウンドを取った方が勝つでしょう」と言ったように、見た印象では僅差に思えた。
それよりも、ゲスト解説の辰吉丈一郎の呂律がまわっていないことに唖然とした。
「Number」11月30日号には未だ大阪帝拳に通う辰吉の近況がノンフィクションで綴られており、復帰を目指して先の見えない努力を続ける姿に感心するとともにもの悲しさを覚えたのだったが、実際に声を聞くと、最早一刻も早く「引退」すべきだとの思いを強くした。もちろん、辰吉自身の身体だ。外野がどうこう言う話ではないのだが。
世界戦の後は、西岡利晃のラスベガスでの試合だった。バンタムから階級を1つ上げて幾分腹回りが太くなった印象の西岡は動きも軽快で4R終了のゴング間際にボディ一発で相手のアロンソをマットに沈めた。しかし、ウィラポンに4度挑んだ西岡ももう30歳。もう一花咲かせられるのだろうか。「スピードスター」と称された頃のフットワークには足りないように思えたが。それとも相手に合わせて脚を封印したのだろうか。
名城の試合はそんなに見ていないが、辰吉や西岡の試合はもう何度も見た。今や辰吉は呂律のまわらない解説をしつつも現役に未練を残しトレーニングを続け、西岡は30歳にしてまだ世界を目指している。正直難しいだろうなあと思う一方で、愚直に突き進むことを忘れた自分を顧みて歳をとったものだと情けなく思った。
35歳の越本隆志が初防衛に失敗した。
相手のロペスがWBC14位とはいうものの、伸び盛りの22歳、メキシコということで、楽観はできないと思っていたが、序盤こそ、うまくパンチをかわしていたものの、手数が少なく、ロペスの圧力に再三ロープを背負うという状態で、第4ラウンドで、これは倒さないと勝ち目はないなと思った。
第5ラウンドに入ると最早防戦一方で第7ラウンドあたりでやられるなあ、という予感がした。
果たして、第7ラウンド終盤、越本はロペスの連打を浴びるだけ浴びて、試合は終わった。
レフェリーが割って入ると、越本はレフェリーにもたれかかるように倒れ、その後も立ち上がれず、担架での退場となった。
越本は試合は断片的にしか覚えていないという。第7ラウンド以前に、傍から見るよりもパンチをもらっていたのだろう。「もういいやろか?」「いいよ」救護室で父親の英武会長と言葉を交わした。今後はジム会長を引き継ぎ後進の指導にあたるという。
防衛できなかったことは残念だが、九州の小さなジムから世界を獲ったことは、立派の一言しかない。
8月2日は亀田興毅の世界戦が行われる。ゴールデンタイムの放送、試合前からの報道の盛り上がり、亀田の若さも含め今回の試合とは同じ世界戦でも対照的だ。
型破りで計算などなさそうな亀田であるが、実は、強い王者がいる本来のフライ級を避けて、1階級落として王座決定戦に臨むなど、計算高いところもある。そうはいっても世界戦には違いなく、簡単にはいかないだろう。まずは、どんな形でここを通過するか、よく見ておきたい。
長谷川穂積がウィラポンを沈めた。
タイトルを奪った時には瞼を相当切っていたのに今回はほとんどきれいな顔だった。
ウィラポンの年齢的な衰えもさることながら、寧ろ長谷川の成長、精神的な余裕が感じられた試合だった。
リングサイドには辰吉の姿があった。今回の長谷川はTKOの完勝だっただけに判定勝ちした前回以上にウィラポンにこだわっていた男の心境は複雑だろう。
僅か8戦目で世界タイトルを手にした辰吉にはその後の戦跡を含めて勝っても負けても劇画のような華やかさがあった。4回戦時代に既に2つの負けを喫している長谷川にはそういった面での派手さはないが、ボクサーとしての資質は相当なものではないかと思う。長期政権を期待したい。
#西岡利晃は一階級上げてベルトを狙っている(Sバンタム級WBA3位/WBC4位)。
「ワンミーチョークより、藍ちゃんの方が強敵や。視聴率は頑張らんとな」
ビッグマウス・亀田興毅が周囲を笑わせた。
今のところ話題先行の感があるが、こういうメディア受けもこれからの時代必要だろう。
東洋太平洋フライ級タイトルマッチ。
午後4時から異例の全国放映だ。
勝っても負けても、その口からおもろい言葉が聞けるに違いない。
西成で培われたど根性。
その練習は、問屋制家内工業的な泥臭さがにおう。
冷酷非情VS義理人情。
衆院選は前者の優勢のようだ。
ボクシングは情念のぶつかり合い。
人生を賭して拳を振るう真夏の戦いで、口直しといきたい。
川嶋対徳山。
軍配は徳山に上がった。
それにしても。
川嶋にはもう少し策はなかったのだろうか。
その不器用さだけが印象に残った試合だった。
「ボクシングとはこういうものだよ。」
そう言う人もいることだろう。
そうなのかなあ。
1年ぶりの決戦。
川嶋と徳山の世界タイトルマッチが明後日に迫った。
秒殺を食らい、一度は引退を決意した徳山は、もう一度川嶋と、という奥さんの一言で再戦を決意したのだそうだ。
一度栄華を極めた者の復活というのは、大変に難しいものがあると思う。
一度切れてしまった心の張りというものがどこまで戻っているのか。
川嶋はパンチがある。
顔つきも自信が漲り、昇りつめていこうとする者の勢いがある。
ボクシング。
一度身を置いた者は、なかなかそこから離れられないという。
徳山にもそんな感情があったのかどうか。
その答えを、徳山の繰り出すパンチに見出せたらと僕は思っている。
西岡利晃の4度目の挑戦も実らなかった。
4度の世界挑戦といっても、同じ相手に4度というのはなかなかないし、(ここ2戦は引き分けとはいえ)3度失敗してもう一度というのは、通常の再起と比べても精神的に要求されるものは大きいと思う。
しかしながら、勝負は非情である。
接戦だった過去3度に比べ、今回はジャッジ(116-110、117、109、118-109)から見ても、完敗といっていい。右目の上をカットしたのが影響したのかもしれない。
試合後のインタビューでは「今後は考えられない」「しばらく休む」とする一方で、5度目の挑戦について、「決まればやります」と答えている。世界王者の肩書きをつけるだけでも大変なことだが、西岡ほどの選手であれば、WBA挑戦も視野に入れればチャンスはかなりあるように思う。現にこの日戸髙を破ったフリオ・サラテはWBC6位で西岡より下にランクされていた。だが、辰吉がウィラポンに拘るのと同じく西岡にとってもウィラポンは超えなければならない壁なのであろう。傍からみれば、つまらない拘りに見えるかもしれないが、ボクサーというのはそういう不器用な男達なのだろう。
西岡27歳、ウィラポン35歳。もうそれほど時間は残されていないかもしれない。