未知の世界に入った途端、目の前が真っ暗になった。
30kmまでしか走ったことのなかった福士が、それを越えた途端大失速。
見ていて僕は恐ろしくなった。
寸分違わないではないか。
ここから(30km)は許さないぞ。
それにしても、あれだけの一流ランナーが、あそこまで恥をさらしてよく走ったと思う。
ただ、あれがこの先プラスになるかマイナスになるか、それは紙一重ではないか。
それにしても、解説の増田明美さんの予想は凄い。
サンケイスポーツ紙上での予想はこうだ。
「・・森本友さんも、過去2大会の五輪選考会で選手をきっちり仕上げてきた天満屋の伝統があります。外国招待選手では、マーラ・ヤマウチさん。体調のよさから、ここでマラソン初優勝してもおかしくありません。」
日曜朝刊の紙面で彼女はそう言っている。
特に痺れるのは、<天満屋の伝統>という指摘だ。
「あそこは長距離戦に伝統がある」。
まるで春の天皇賞を予想するトラックマンのようではないか。
この人、ギャンブラーだなあ。
同郷の後輩として、僕は改めて増田さんを誇りに思った。
こちらも横綱対決か。
小倉競輪祭決勝である。
小嶋、山崎が危なげなく決勝に乗ってきた。
さすがは第一人者だ。
山崎は暮れからインフルエンザにかかり、「7~8割の出来」とのことであったが、レースで調子を作ってきた。
昨日は10秒7の圧巻の捲りである。
付けた佐藤慎は、お先真っ暗な思いをしたのではないか。
一番いい位置にいて、抜けない、と誰よりも強く思い知らされるのだから、これはもうたまったものではない。
決勝は、他に井上、武井にラインができ、4分戦の細切れ。
力なら、山崎と小嶋の一騎打ちで、1=2だろうが、武井がチョコチョコ動く。
これが結構<意外>を呼び込むかもしれない。
3連単は、前日共同インタビューの佇まいの良かった香川を絡ませたい。
今年最初のG1レース。
競輪の醍醐味を存分に見せて欲しい。
いよいよ横綱対決となった。
「国民の期待に応えたかったのですが・・」
これは、今場所朝青龍と対戦し、負けた力士のコメントだ。
謹慎明けの悪童に、あっさり優勝されてはたまったものではない。
一番それを感じているのは、東の正横綱・白鵬だろう。
それが過度のプレッシャーにならなければよいが。
何せまだ22歳の若い横綱である。
一方の横綱は、何度も修羅場をくぐり、今回は土俵外でのバッシングにもさらされた。
ある意味これまでとは違う、言うなれば<新型朝青龍>である。
日を追うごとに凄みも増してきた。
この数ヶ月の鬱憤晴らしを、明日の一番にぶつけてくるだろう。
モンゴル横綱の血を受け継ぐ白鵬。
その血統ゆえに、明日は復讐の権化の情念に飲み込まれるような気がしてならない。
いつの時代も、ヒール役には目がいってしまうということか。
完全なるヒール役として生まれ変わった朝青龍。
初場所は、初日、2日目と大入り満員という大盛況。
皮肉なものである。
肝心の相撲のほうは、白鵬がどっしりとしてきただけに、両横綱の対決軸が際立ち、面白い展開になってくるかもしれない。
それでも、その陰で陰惨な殺人が行われたということを我々は忘れてはなるまい。
せめて土俵上だけは、誠実な相撲をお願いしたい。
先日09年度の競輪スケジュールが発表された。
それによると、「ふるさとダービー」が消滅するらしい。
この報を聞いて、ああ、競輪はこの先本当に大丈夫なのかと思ってしまった。
なぜに「ふるさとダービー」を消す必要があるのだろうか。
数ある公営ギャンブルのレース名の中でも、僕はこれは出色の出来栄えだと思う。
競輪ファンは、選手の日々の鍛錬が紡ぎ出す人間ドラマを信用しているのである。
そうでなければ、命の次に大切な金を張れるはずがない。
「ふるさとダービー」という名称には、選手とファンが一体となって競輪を継続していくのだという泥臭い想いがプンプンにおっている。
それをあっさり切り捨て、「何とかカップ」なんて無味乾燥な名前をつけてどうするのだ。
形の揃ったリンゴじゃなく、大粒、小粒いろいろあるが滋味豊かなイモ。
競輪はそれでいいんだよ。